裁判所を通す2種の解決方法
交通事故の損害賠償の解決方法として、裁判所は通さずに当事者同士の話し合いで決めるのが示談です。
これに対し、裁判所を通す二つの方法、調停と訴訟について説明しましょう。
調停とは?
裁判所に間に入ってもらって話し合いをすることです。
訴訟が判決という形で裁判官に「こうしなさい!」と決めてもらうのに対し、調停では間を取り持つだけです。
「こうしてみてはどうですか?」「こういう風にできないですか?」という感じです。
調停を行うのは地裁などではなく、簡易裁判所で、合意ができると「調停調書」という文書を作成します。
法の専門家がスーパーバイザーになることで、被害者が圧倒的に不利な条件で押し切られるようなことは防げるでしょう。
しかし、調停はあくまで話し合いなので、合意できなければそこで止まってしまいます。
交通事故の処理として調停が用いられる例は少なく、示談が成立しなければ訴訟に移行するのが普通です。
訴訟とは?
いわゆる裁判と同じです。
弁護士を立てて法廷で争います。
示談や調停と違うのは、当事者が合意できなくても結論が出ることです。
判決という形で裁判所に「こうしなさい!」と決めてもらうことを求めるのが訴訟です。
訴訟の手続き
- 訴状提出
- 訴状審査
- 被告に対する呼び出し
- 口頭弁論(当事者による主張の整理)
- 証拠の提出
- 証拠調べ
- 判決
被害者にとっての訴訟のメリットは示談よりも金額が高くなる傾向にあること。
何倍も変わることもあります。
デメリットは弁護士費用などのお金がかかり、時間もかかること。
普通で1年くらいかかり、医学的論争などが絡むと2~3年になることもあります。
収入が途絶え、介護費もかさむ場合など、被害者と家族はそんな長期戦に耐えられないこともあるでしょう。
訴訟途中での和解
訴訟手続きの証拠調べが最終段階に入ると、多くの場合、裁判所から和解案が提示されます。
「判決を待ってもいいが、だいたい予想はつくので、もう戦いはやめてこの内容で手を打ってはどうか?」という提案です。
実際、判決まで行くのは訴訟の3割程度で、残りの7割は和解で解決しています。
被害者・加害者とも判決を待つよりも費用と時間を節約できます。