【全体像|交通事故示談金増額交渉のポイント】

増額交渉にはツボがある

示談金は相場を踏まえてしっかり交渉することが大切です。

 

最初は大幅に安い金額を提示してくるのが普通ですから、やすやすとOKを出してはいけません。

 

とはいえ、闇雲に増額を要求しても通るものではありません。

 

どこを交渉して増額していくのか、よく使われる手を解説します。

 

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休業損害

有職者は当然請求できますが、専業主婦も実は請求できるのです。

 

過去の判例から、女性の平均賃金を収入に見立てて計算するルールになっています。

 

外からの実収入がない主婦にはそんなことは思いもよらないし、仮に思いついても自分の判断で諦めてしまうでしょう。

 

保険会社は無知に乗じて、払わずに済まそうとしてきます。

 

休業損害ゼロで示談に応じてしまえば、もう後から請求することはできません。

 

その前に弁護士に入ってもらって、休業損害分の増額に成功することはよくあることです。

 

また、失業中に事故に遭った場合、自賠責は休業損害が出ず、任意保険会社も認めないのが基本姿勢です。

 

しかし、事故に遭わなければ就職できていた蓋然性があると判断できれば、弁護士基準では請求可能であり、認められた例もあります。(「赤い本」参照)

 

症状固定まで半年とか1年以上もかかる場合があり、そういうケースでは金額も大きくなるので、ぜひ交渉したいところです。

 

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基礎収入額

逸失利益は、事故に遭ったために減る未来の収入の補償です。

 

後遺障害が残った場合と死亡事故の場合に請求できるもので、金額が大きいのでとても重要です。

 

逸失利益の計算式

後遺障害逸失利益=基礎収入額×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数

 

死亡逸失利益=基礎収入額×(1-生活費控除率)×就労可能年数に対応するライプニッツ係数

 

掛け算になっているので、増額のためには掛けられている要素のどれかを増やすことが必要です。

 

基礎収入は最近の平均年収から推定して出すのが基本ですが、時として増額のカギになります。

 

例えば、若年者の場合などは昇給をどの程度見込むかで基礎収入の金額は大きく変わります。

 

被害者が勤務していた会社の賃金規定を弁護士が入手して、もっと昇給していたはずであると証明し、逸失利益の大幅増額に成功したような例もあります。

 

自営業で最近は家族の看病等で業績が落ちていたが、将来は復活する蓋然性がある場合も復活後の想定値で計算してもらいたいでしょう。

 

あるいは、事故時にたまたま失業していたが、労働の能力も意欲も十分あった場合も、基礎収入額の設定は大きな問題になります。

 

こういう場合、しっかりした論理構築をしてなるべく高い基礎収入額を認めさせることが、示談金増額のポイントになります。

 

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後遺障害等級

完治せず、後遺障害が残った場合、必ず後遺障害等級の認定を受けることが大切です。

 

等級がなければ、後遺障害慰謝料と後遺障害逸失利益を請求できません。

 

この2つはとても金額が大きいので、等級の有無で保険金が大幅に変わります。

 

むち打ち症のように外見で障害が判定できないケガについては、保険会社は極力等級を取らせないように誘導します。

 

逆に言うと弁護士は、等級の認定を受けられるようにして、増額を実現するのです。

 

また、等級の認定を受けるにしても、ひとつでも高い等級を取ることが大切です。

 

先ほどの後遺障害逸失利益の計算式で出てきた「労働能力喪失率」、それから後遺傷害慰謝料の金額はどちらも等級に紐づけられています。

 

簡単に言うと、等級が一つ変わるだけで後遺障害逸失利益と後遺傷害慰謝料の両方が大きく変わるのです。

 

というわけで、等級の見直しは示談金増額の大きなカギで、弁護士もよく使う手です。

 

しかし、これには医師に診断書を書き直してもらうという難関があります。

 

医師はプライドが高いし、面倒でお金にならない診断書の書き直しなど極力断ります。

 

説得して協力を得るには、弁護士先生の力を借りるのが早道だと思います。

 

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素因減額と加重障害

素因減額とは、被害者が普通の人と大きく違う要因を持っているために、普通以上に被害が拡大したので、賠償金を割り引くという主張です。

 

たとえば、ひどい骨折になったのは骨粗鬆症のせいで、普通の人は骨折などしないような事故だったので、治療費を全額払う義務はない、といった種類の主張です。

 

また、すでに障害を持っている人が事故で同じ部位に新たな障害を負うことを加重障害といいます。

 

この場合も、現在の症状を実際以上に元からある障害のせいにされて、損害賠償金の減額を主張されやすい。

 

相手が以上2種のような主張をしてきた時に、緻密な論理構築でどれくらい跳ね返せるかも、増額の大きなカギになることがあります。

 

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将来の積極損害(介護費等)

重い障害を負ってしまった場合、残りの一生の間に普通の人には不要な多額の出費が発生します。

 

介護が必要な場合は介護人の人件費がかかるし、たとえ家族がやるにしても補償は必要なはずです。

 

おしめなどの費用も、残りの生涯分となると馬鹿になりません。

 

義足や車いすを買う場合もあるし、その場合は死ぬまでに何回か買い替えが発生します。

 

車を車いすで乗れるように改造したり、家中に手すりをつけたりすることも必要になるかもしれません。

 

以上のような費用は、治療費、慰謝料、逸失利益等の費目とは別に請求できます。

 

これは知らなければ、思いもよらないことかもしれません。

 

保険会社も無知に乗じて「それは慰謝料に含まれています」というような説明をする可能性もあります。

 

上記のような費用を漏らさず請求していくのも、示談金増額のカギだといえます。

 

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慰謝料

交通事故損害賠償の数ある費目の一部である慰謝料は、金額の基準が定められています。

 

後遺障害の慰謝料は後遺障害等級に紐づけられており、死亡慰謝料は被害者の家族の中での位置づけによって定められています。

 

しかし、特別に精神的な負担が重かった事情がある場合は、基準以上の増額が認められる場合があります。

 

例えば事故原因が悪質な場合や、相手に非があるのは明らかなのに事故後の態度が不誠実で反省も謝罪もないような場合。

 

あるいは、事故被害の検査のためにレントゲン検査が不可欠で、それを受けたために中絶を余儀なくされたというような場合。

 

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過失割合

事故の状況がはっきりしていて、加害者・被害者ともその内容を認めている場合は、ここを攻めてもそんなに変わるものではありません。

 

しかし、相手が赤信号で進入してきたために起きた事故なのに、事故後に相手が信号は青だったと主張し始めたような場合。

 

こちらの過失を認めるかどうかで、損害賠償額は大幅に変わります。

 

目撃者を探すなどの大掛かりな作業になる可能性もありますが、今挙げたような例では譲るわけにはいきません。

 

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